個人で事業を開始する際に提出する書類の5回目です。
1.個人事業の開業届出書
2.青色申告承認申請書
3.給与支払事務所等の開設届出書
4.青色事業専従者給与に関する届出書
5.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
今回は5.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を見てゆきます。
源泉所得税と納付の仕組み
「源泉所得税」とは、源泉徴収制度により徴収された所得税のことを指します。
事業主の方は、個人の方へ給与や報酬を支払う際に、一定の方法(支払内容により異なる)により所得税額を計算し、支払総額からその所得税額を天引きした金額を相手方へ支払います。
また、天引きした所得税を国(税務署)へ納付することとなります。
支払者が相手方への支払前に所得税を天引きし、相手に代わり国へ納付する制度、これが「源泉徴収制度」です。
この源泉所得税は、原則、徴収した日の翌月10日が納期限となります。
例)2月中に給与支払(合わせて所得税を源泉徴収)→3月10日が納期限
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」とは?
前項の原則に従うと、従業員のいる事業者のほとんどが、毎月源泉所得税の納付を行わなければなりません。
従業員が少人数の事業者からすると手間ですよね……。
そこで、給与を支払う従業員の人数が常時10人未満の事業者については、給与・賞与・退職金・士業への報酬に対する源泉所得税(上記以外の源泉所得税は特例を適用できません)の納付を、
- 1〜6月までの源泉所得税額 7月10日
- 7〜12月までの源泉所得税額 翌年1月20日
の年2回にまとめて納付する特例が設けられています。
特例ですので事業者側で勝手に年2回納付にするわけにはいかず、
「常時雇用者が10人未満なので特例を使いたいです!」と申請をし、「OK」と税務署の承認を受けることで、初めて年2回納付とすることができるようになります。
その申請をするための書類が「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」です。

提出要件
給与の支給人員が常時10人未満で、納期の特例制度の適用を受けようとする方は提出が必要となります。
提出時期
随時(適用を受けようとする時)に、給与支払事務所の所在地を所轄する税務署へ提出してください。
なお、提出した月の翌月末日までに何の通知もなければ、提出した月の翌月末日に承認があったものとされます。
つまり、
例)2月 申請書を提出 2月分源泉所得税を3/10までに納付
3月 末に承認有 3〜6月分源泉所得税を7/10までに納付
と、提出月はまだ承認を受けていないため、翌月10日までに納付する必要があるので注意が必要です。
まとめ
今回は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」について見てゆきました。
毎月の源泉所得税納付を手間と感じてしまう方や、開業から数ヶ月は手元に現金を置いておきたい方は提出すると良いでしょうし、
資金繰り管理の関係上、毎月支払う方が現預金残高を管理しやすいという方は、必ずしも提出する必要はありません。
納付する税額が増減するものではありませんので、お好みでどうぞ。
【明日に向けて】
とある手続きを進めます。