コロナ禍において、これまで以上にその名称を耳にすることが多くなった「経営セーフティ共済」。
個人の確定申告の際に添付しなければならない書類に変更がありました。
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済とは、独立行政法人中小機構基盤整備機構が行う共済制度の1つです。
中小企業や個人事業主が取引先の急な倒産により経営困難な事態に陥ってしまった際に、速やかに資金の借入を行うことができます。
上記の他にもメリットがあり、これらをまとめると、
- 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入可能
- 取引先が倒産後、すぐに借入れできる
- 掛金の税制優遇措置が受けられる →掛金を損金(法人)又は必要経費(個人)に算入できる。
- 解約手当金が受け取れる →掛金を12ヶ月以上納めていれば8割以上、40ヶ月以上で全額戻る。
の4つが挙げられます。
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とある事情により変更されました
この経営セーフティ共済、上記ポイントの3.の個人に関して、会計検査員より次のような指摘がされました。
- 掛金を必要経費に算入するためには、租税特別措置法第28条第2項より確定申告書に明細書を添付する必要がある。
しかし、確定申告書ではその明細書がどのようなものか定められていないことから、所得税の申告において中小機構発行の「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」など一切の明細書添付が無いまま、税制優遇措置を受けていると思われる例が一定数見られた。 - 掛金を経費算入した経営セーフティ共済につき返戻金を受けた場合には、その金額を収入計上しなければならない。
しかし、返戻金を受け取った者について確定申告書が提出されていなかったり、確定申告書は提出されているものの返戻金を収入計上していないことが疑われる状況となっていた。 - 税務署側で返戻金の収入計上についての審査体制が整備されていなかった。
(参考:会計検査院「所得税の申告における倒産防止共済特例の適用に伴う返戻金額の収入計上に係る審査体制の整備等について」)
経費算入時に「税制優遇措置を受けました」という証がなく、その後返戻金は収入計上されておらず、証がないので審査するのもままならず。
この状況に修正が加えられた、ということです。
上記指摘のうち1.に対応する形で、申告書に添付する明細書が定められました。
添付書類
経営セーフティ共済を経費算入した場合には、次の明細書を添付することとなります。
A4一枚の上部にある表へ、必要事項を記載します。(半分以上真っ白な明細書です)
経営セーフティ共済1本であれば、表の縦1行に、
- 法人名:中小企業基盤整備機構
- 基金名:経営セーフティ共済
- 告示番号:記載不要
- 支出金額:その年に支払った金額
- 経費算入額:経費に含めた金額
と記載して完成です。
前年まで添付していた「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」ではなく、こちらの書類が必要な添付書類となります。
前年分を参考に確定申告書を作成される場合には要注意です。
まとめ
個人の方が経営セーフティ共済を経費算入した際の添付書類の変更について記載しました。
明細書の添付が経営セーフティ共済を経費算入する際の要件となりますので、忘れずに作成しましょう。