引き続き「確定申告をする必要はないが、確定申告をすることでメリットがある方」について見てゆきます。
今回は、その年に損失が生じた方についてです。
なお、前回までの確定申告対象者についての記事はこちら↓
確定申告することで損失を繰り越せる
次の場合には、確定申告(損失申告)を行うことにより、その損失額を翌年以後3年間に渡り繰り越すことができます。
- 青色申告者で、その年に生じた純損失(事業所得・不動産所得・総合譲渡所得・山林所得の損失金額のうち、損益通算をしても控除しきれなかった金額)がある場合
- 白色申告者で、その年に生じた純損失のうち①変動所得(事業所得や雑所得のうち、漁獲や水産動物の養殖による所得、印税・原稿料・作曲料などによる所得といった、自然条件やその他の条件によって年々の所得が大幅に変動する性格の所得)の損失額、②被災事業用資産の損失額がある場合
- その年に生じた雑損失の金額が多額のため、その年だけでは全額を控除しきれなかった場合
- その年の上場株式等の譲渡損失で、申告分離課税による上場株式等の配当所得等の金額と損益通算をしても控除しきれなかった金額がある場合
- 一定の居住用財産を譲渡した場合の譲渡損失がある場合
白色申告者の場合、純損失があったとしても上記①o②に該当する損失でなければ、損失の繰越ができない点には注意が必要です。
また、損失が生じた年の翌年以後に引き続きその損失の一部または全部を繰り越す場合には、翌年以後も損失申告を行う必要があります。
例)
2021年 損失△300万 →損失申告
2022年 所得なし →損失△300万を損失申告
2023年 所得200万 →損失△100万を損失申告
繰戻還付も可能
青色申告者について、
- その年に純損失が生じた
- 前年分も青色申告書を提出している
- 前年は所得税の納付があった
場合には、その年の純損失の金額を前年に繰戻して、所得税額の還付を請求することもできます。
例)※数字は概算です。
2020年 所得1,000万、所得税額100万(税率10%)
2021年 損失△300万
前年所得税額100万ー(前年所得1,000万ー当年損失300万)×10%=30万 →還付対象額
繰戻還付の請求を行う場合には、①その年の損失申告書を提出、②繰戻還付請求書の提出の2つを申告期限内に行います。
まとめ
確定申告をした方がよい方のうち、損失の繰越を行うことができる方について見てゆきました。
過去記事と合わせて、ご自身が対象に含まれているか確認してみてはいかがでしょうか。