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電子データをデータのまま保存しなかった場合に罰則はある? まだ間に合う!これから始める「電子帳簿保存法 改正」対応③

その他法律
国税庁パンフレット「電子帳簿保存法が改正されました」より

前回、電子データの保存要件について見てゆきました。

↓前回はこちら

この要件に従わなかった場合、もっと言うならば、そもそも電子データによる保存を行わなかった場合には、事業者にどのようなデメリットが生ずるのでしょうか。

青色申告の承認に影響する?

令和3年7月の国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」では、次のような記載があります。

 令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等による保存を持って、当該電磁的記録の保存に変えることはできません。
 従って、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。

国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」問42より

青色申告の承認の取消、という厳しい言い方がなされています。

ただ、即取消というものではなく、上記に続く文章内にて、

  • 違反の程度を総合勘案し、青色申告書を提出するのに相応しくないかどうか検討した上で、承認の取消を判断する。
  • 電子データを要件に従って保存していない場合や紙に打ち出して保存している場合は、これらは国税の書類保存要件を満たした書類とはみなさない。
    ただし、申告の内容が適正かどうかは、税務調査にて追加的な説明や資料提出、取引先の情報などを総合勘案して確認することとなる。

といった内容の記載があります。

これより、青色申告の承認を絶対取消する、という程ではありませんが、違反の程度によっては青色申告の取消の可能性がある、と考えられます。

また、資料の保存要件を満たしていないことをもって申告内容を不適とすることはないようで、他に確認できる情報などにより判断するとのこと。

申告への直接的な影響は無いとはいえ、違反の程度が分からない以上は、しっかり保存要件を守った方がよさそうです。

この件についてQ&Aが追加されました

前項のことがあるため、電子帳簿保存法についてお客様への周知や対応を行っていました。

が、令和3年11月12日付で、国税庁より「お問合せの多いご質問」として次のような内容が補足されました。

【補足説明】

 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実を持って青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。
 これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。

国税庁「お問合せの多いご質問」Ⅲ【補足説明】補4より

正しく記帳・申告されていて、電子データで保存していなくとも紙媒体などで確認できるようであれば、他に青色申告承認取消の事由が無い限りは即取消をしたりしない&経費として認めないということもない

だそうです。

当初と異なり、かなりかなーり緩くなりました。

何ならこの言い方ですと、「対応不要。紙でOK。」で良くないですか? とも読み取れてしまいます。

ただ、1点言えることは、他に青色申告承認取消に関係する事由があった場合には、

「電子データ保存の要件も守れていないよね」

と、取消を後押しする事由となり得る、という点は変わっていません。

まとめ

電子データの保存要件を守らなかった場合のデメリットを見てゆきました。

新たに追加された補足説明により、大切なことは、

  • 正しく記帳、正しく申告しましょう!
  • データ資料は消さない、改竄しない、で保存しましょう!

と、これまで真面目に経理を行っている方々は、まずは以前と同様の事を続けてゆくことです。

その上で、今回の保存要件に適する形へ移行を進めてみましょう。

義務という視点から、社内のペーパーレス化を進めて経理業務効率化を図る、など目的に向けてのきっかけとする視点でこの改正を捉えるのも良いかもしれないですね。